ミムラ写真研究所: ニコンD3のテストレポート/D3の実力

2008年4月7日月曜日

ニコンD3のテストレポート/D3の実力






ニコンD3のテストレポート

 先日ニコンD3を使用した仕事があって、2日間で、6,000枚の舞台撮影をした。そのときの、D3のテストレポートをまとめてみる。
1.連続撮影のレポート
 前もって撮影をしてみた結果だが、レリーズを押しっぱなしで13コマの連続撮影が出来た。カードは、32Gの40倍速のカード使用のものだ。レリーズを押すのには、13枚程連続撮影をした後に、数秒ほどしてからレリーズは何コマかで来たが、すぐに撮影は出来ず、1分ほどしてから普通に撮影できる状態になった。これは画像がカメラ本体のメモリーからカードにデータが転送されるのにかかる時間のために時間を要したものが原因と考えられるが、スペックを見る限りでは、撮影するのにこのようなストレスを感じるとは想像していなかった。
 実際に舞台の撮影においても、続けて撮影しているのは、1秒間に1コマの2秒間隔で撮影を続けていたのだが、20コマほど撮影したところでシャッターは切れなくなってしまった。撮影の記録の設定は、RAW+JPGの同時記録である。
 ニコンは、このD3で1200万画素に画素を押さえた結果、1秒間の撮影出来る枚数が10コマ近くとなり、キヤノンのフル35mmセンサーのEOS1DsMark3の倍のスペックをたたき出している。もちろん、Mark3は、2100画素と約倍の画像のデータを読み込むのだから当然であるが、
このニコンの設定は功を奏している結果がニコンD3の人気の原因とはなっているようだが、レリーズが切れなくなってしまうのはいただけない結果になったのは予想外だった。
上記の画像は、連続撮影の画像。

露出とホワイトバランスの結果
 このカメラで一番完成度の高いのは露出とホワイトバランスだと感じた。あと一つあるのだが、それは別な項目として別に書かせてもらう。露出は、特別なスポットが当たるようなものでなければ、ほとんど問題なく適正露出で撮影できる。もちろん、スポットであってもフォーカスの設定をそのスポットに合わせてあげれば、1絞り以内の露出に治まり、RAWの加工で問題なく奇麗画像が再生できる。ニコンのデジタルカメラは、D1とDX1まで使用したが、フルサイズが発売されなかったので、キヤノンに移行してしまったが、操作性は変わらないので、フォーカスリング等の反対の動きの他は違和感はなかった。背面のフォーカス選択は、キヤノンよりも分かりやすく、咄嗟のときの選択には便利だった。露出の精度は高いのに驚かせれた結果となった。 
 また、ホワイトバランスが奇麗なことは、キヤノンよりも優れているように感じられた。難しい緑や黄色も難なく色を出していたのには驚いた結果になっている。不思議なもので、フィルム時代のニコンらしい黄ばんだ画像になっているのも懐かしさを感じたが、この精度は高いものだった。緑色をキヤノンで撮影すると漏出がオーバーになる結果になり、RAWで補正することがしばしあるのだが、このカメラはその必要がなかった。その画像も撮影したので見て頂きたい。レンズは、VR100-400mmF4.0のレンズで撮影したものである。

ISOの感度の画像の仕上がりの良さ
 次に驚いたのは、感度を3200に上げても使える画像には驚いた。ノイズ処理が旨く行われており、3200で撮影したのにノイズが少ない。A3までの処理だったら問題なく使用できる画像である。さすがに、ニコンが6400までが標準と行っているのには疑問があるが、A4サイズのデータなら頷ける。機材の重量を軽減出来そうだ。もちろん、200がISOの感度の一番いい状態だが、感度を上げることでの極端な画像のノイズは見られない。ノイズは出るのだが、激しく激変しない画像は3200までなら実用範囲である。実用範囲をどの基準にするかは、画像の最終的な大きさの処理の問題になってくるが、3200で撮影する分には、A1までならなんとかなりそうな気がする状態だ。暗部にも、ノイズが気になる部分は見られず、明るいところでも、コントラストが高くなり過ぎて、画像が変化することは少ないようだ。咄嗟の変化に対応できるISO感度の精度が旨くまとまっている。
 カメラ雑誌での評価は、どうやら、メーカーサイドの評価になりやすく、実務的なデータは出ていなく、ニコンD3の評価のいい面だけが出ているが、本当にカメラをユーザー側に伝えることが出来るレポートをしているのだろうかと思うことがある。趣味的にライカのレンズやカメラ等を絶賛するのではなく、仕事的な面やデータとしての事実をレポートしてもらいたいものだ。仕事に使っているのは、デジタルなのだと思うと、変な話で、実際にデジタルカメラに移行したいカメラユーザーは、潜在的に多くいるのだから。

ニコンD3の6,000コマを撮影した総評
 できの良いカメラであることは間違いのないカメラである。露出、ホワイトバランス、操作性の良さ、ISO感度ノイズの少なさと今までのカメラと比べてみても良いカメラである。しかし、実際に使用してみると、画像のデータの転送時間にストレスを感じてしまったのは事実で、写真を撮影したいときにシャッターを切れないストレスは、どうしようもない。この点を解消してくれれば、ニコンのフラグシップ機器のDの付くニコンの伝説は、ニコンのF神話になっていく気がするが、このことは一番大切なことで、単純に撮影したいときに撮影できないことは、画素が多くないことを考えればクリヤーしてほしい問題点である。
 画素が多くて、B0のデータを撮影するときに、画像を大きくするのだから仕方がないと思いながら撮影するときは、大きくすることが前提としてあるので気にはならないが、その制限がないのだったのならば、この点はクリヤーすべき問題のような気がする。



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